米債務上限問題

【よみ】
べいさいむじょうげんもんだい
【英名】
U.S. debt ceiling crisis

米債務上限問題とは、米国の連邦政府が国債などを発行して調達する債務(借金)の金額が定められた上限金額に接近または到達することで、それ以上の借入れが出来なくなり財政運営に大きなストレスがかかることを指す。法定上限に達しようとしたときは、議会で発行額上限を引き上げるか、上限適用を一時停止させるか、一定期間だけ国債発行を認める暫定延長などの措置を講じるが、それでも歳入と歳出のバランスが取れなければ、連邦政府の閉鎖、職員給与の支払い停止、社会保障や国防など重要分野の歳出カットが行われる危険があるほか、債券の利払いや償還ができずに債務不履行(デフォルト)に陥るリスクが高まる。

直近では、2013年に同問題へのリスクが心配された。2008年のリーマンショック後の大規模支援策や医療保険制度改革(オバマケア)による歳出拡大により連邦債務が膨らむなか、共和党が予算と債務上限引き上げを人質にとる瀬戸際戦術をとったため議会が混乱。財政健全化とオバマケア修正とで協議が難航し、2013年10月1日から連邦政府が閉鎖された。その後、デフォルト回避を優先する穏健派の上院共和党指導部が保守強硬派(2016年の大統領選挙でトランプ氏を支援)を無視してなかば強引に歩み寄り、土壇場で短期債務引き上げに合意したため国債の利払いが滞る事態は回避された。また、同年10月17日には連邦政府閉鎖も解かれた。

市場への影響ですが、一般的には米国の財政運営への不安がドルへの信認低下につながり、ドルを圧迫する材料と捉えられる。とはいえ、同問題は予見できるほか、上述したように避難ツールが複数あり最悪の事態を回避する努力が試みられるため、ドル安バイアスが必ずしも高まるとは限らない。ただ、上限引き上げなどでデフォルトが回避された局面では投資家センチメントが好転する傾向はある。2013年の時は、上限引き上げが合意された後、99円付近だったドル円は97.00円前後まで押し戻される局面を挟みながらも年末にかけ105円台まで上昇した。また、ダウ平均やS&P500は11月以降、最高値を連日塗り替える格好となり、10月17日以降のその年の騰落率はそれぞれ+7.8%(15371.65ドル→16576.66ドル)、+6.6%(1733.15p→1848.36p)となった。

2021年5月13日 更新