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経済指標解説

外国為替予測の方法

経済指標解説

「経済指標」とは、その国における企業や家計の動きに関するさまざまな目安のことをいいます。経済指標は景気の善し悪しの判断の目安となりますので為替予測において重要な要因です。

経済指標を見るうえで大事なこととして、経済指標は発表する時期によって数字が変わることがあげられます。通常はまず「速報値」が発表され、その後「確定値」が発表されます。市場関係者は一般的に「速報値」に注目します。「確定値」が発表されても、「速報値」と大きな誤差がなければ、相場に与える影響は少ない。また、経済指標の数字が良い・悪いとの判断よりも、事前予想数字との比較で相場が動くことが多くなります。

それは、市場参加者がうわさ(予想)で仕掛けているためです。例えば、事前に米国の貿易赤字が大きくなるとの予想数字がでると、市場ではドルを売る傾向が強まり、指標が出る以前にポジションがドル売りに傾き、指標が事前予想の赤字額であっても、指標発表後にドルがさらに売られるよりも、利食いのドルの買戻しが活発化し、ドルが上昇するケ-スが多くなります。指標発表後、相場が大幅に動くのは指標の数字が事前予想と大きく乖離していたときです。

経済指標は統計の数字ですので、現在の景気実態が反映されない場合があります。発表時期と調査・集計時期にはタイムラグがありますので、経済指標を読む場合はまずこのタイムラグに注意します。次に経済指標を読む前に、景気に対するその指標の動きを理解することが大切です。

景気動向に対する動き方

  • 先行して動くもの…景気先行きの予兆
  • 一致して動くもの…景気の現状を示す
  • 遅れて動くもの…少し前の景気の状態を示す

経済指標の比較の基準として、前月比(前期比)と前年同月比(前年同期比)があります。
また、経済には季節変動が影響します。例えば、冬には暖房のため、石油関係の消費が増える、8月のお盆の時期には旅行する人が増えるなど、気候、風習、社会制度などが経済活動に影響を与えます。こうした月々の特徴を考慮せずに、数字を前月(期)と比較しても正確な比較にはなりません。

その点、前年同月比(同期比)の比較は、季節変動の影響を受けにくいといえます。しかし、冷夏、暖冬などの年ごとの特殊要因などもあり、この数字も比較するうえで最適とはいえません。

そこで登場するのが、季節調整です。前月比経済指標には「現数値」と「季節調整値」があります。「季節調整値」は季節変動を除去した数字なので、前月の数字との比較が確かなものとなります。

名目値と実質値

さらに、経済指標の金額表示は、名目値と実質値があります。我々の経済生活は名目(時価)で行われていますが、物価が大きく上昇・下落したときには名目の数字のみを比較しても、経済動向は正確には読みとれません。

名目値から物価の影響を除いた数字(実質値)で比較したほうが、確かな経済動向が読みとれます。

また、経済指標には、金額、数量そのものによる比較ではなく、指標表示されているものがあります。例えば、消費者物価指数、鉱工業生産指数などです。これらは基準点を100と置いて、94とか108といった数字で表示し、現時点での水準を示します。

重要な経済指標

GDP(Gross Domestic Product)=国内総生産

GDPとは日本で行われた生産活動で得た付加価値の総額で、その中には外国人が日本での生産活動で得た付加価値も含まれます。しかし、日本人が海外活動で得た付加価値は含まれません。
付加価値とは生産の過程で新たに付け加えられた価値のことで、売上高から使用者費用(原料、減価償却費)を引いて計算します。つまり、付加価値は要素費用(人件費や利子)に利益を加えたものです。GDPは四半期ごとに発表されます。1-3月期の数字が6月の上旬に発表されるように、2ヶ月半遅れの発表ですので、速報性には欠けていることを理解しておきましょう。

しかし、景気の良し悪しを判断するとき、そのもっとも基本的な判断材料となるのが経済成長率です。その経済成長率を表わしているのがGDPですから、GDPはもっとも重要な経済指標の一つであると言えます。もちろん為替相場に対する影響も大きなものです。GDPには名目GDPと実質GDPとがあります。
名目GDPは時価評価でのGDPで、物価上昇によって水増しされたものを差し引いて修正されたものが実質GDPです。GDPの数字と同時に発表される、デフレ-タ-が名目値を実質値に修正する際に使う物価指数です。ちなみに、日本のGDPは米国についで世界第2位です。

デフレ-タ-

GDPや経済成長率などの名目値(物価上昇率を加えた数値)を実質値(物価上昇率を差し引いた数値)に修正する際に使う物価指数。

さらに詳しい情報
内閣府経済社会総合研究所
日銀短観

短観は、2月、5月、8月、11月と年4回調査を行ない、企業に依頼して、回答表に記入してもらいます。それを集計し、1ヶ月以内に発表します。短観の調査は調査票の回収からその集計・発表までのタイムスパンが1ヶ月程度と短く、速報性に優れています。調査対象企業数はおよそ1万社です。調査項目は現状および先行きの業況判断です。製造業、非製造業に分類されて、各々の業況判断が示されます。
また大企業、中堅企業、中小企業別に分類された業況判断や業種別の業況判断の資料も出されます。業況判断を示す回答はDI(Diffusion Index)という指標に加工・集計されて発表されます。また、日銀短観は業況判断以外にも、製品需要・在庫・設備投資計画などの資料も示され、企業の景気に対するマインドを知るうえでもっとも適した指標です。

さらに詳しい情報
日銀ウェブサイト
鉱工業生産指数

経済産業省の発表する経済指標の中でもっとも注目度の高い指標といってよいでしょう。速報性に優れ、景気の動向をいち早く敏感に察知するので、景気観測には不可欠です。この統計で、鉱工業の生産・出荷・在庫の状況を知ることができます。鉱工業生産と鉱工業出荷は、景気動向指数の一致系列に入っています。鉱工業生産指数の速報値は2月分であれば、3月下旬と、翌月の下旬に発表されます。
さらに翌々月の中旬には、速報に続いて確報が出されます。この確報には、稼働率指数や生産能力指数も添付されています。稼働率の動きを見れば、需給が逼迫してきているのか、そろそろ企業が設備投資に動きだすのか予想できます。また、先行系列に属す在庫率は、先行きの景気を見るうえで注目される数字です。在庫率が110を割り込んでくれば、在庫調整は最終段階を迎えていると見られ、需要の回復期が近いと判断されています。

さらに詳しい情報
経済産業省ウェブサイト
景気動向指数

景気動向をもっとも的確に表わす指標の1つとして注目されています。月次調査され、その数字は2ヶ月後の月末に発表されます。景気と深い係わりを持っている29の景気指標を選び出し、その中から景気に先行する「先行指標」、景気と一致して動く「一致指標」、景気に遅れて動く「遅行指標」に分類します。指標の数字はDI(Diffusion Index)で表されます。それぞれの指数が水準点を上回っていればプラス1、下回っていればマイナス1、同じときはプラス0.5として、プラスの占める割合を計算します。
例えば、先行指標12本のうち、プラスとなった指標が半数以上あれば、先行指数は50%を上回ることとなり、景気の先行きは明るいと判断されます。総合指数(先行、一致、遅行を合わせたもの)が50%を上回っている期間を好況期、下回っている期間を不況期と判断します。また、一致指数が3ヶ月連続して50%を越えれば、景気が上昇局面に入ったと判断し、3ヶ月連続して30%を割り込めば、景気が下降局面に入ったと判断しています。

機械受注統計

設備投資動向を知る重要な先行指標の1つです。この調査は、機械メ-カ-などの受注した設備用の機械類について、毎月の受注実績を調べたもので、月次調査で、翌々月の中旬に発表されます。2月、5月、8月、11月には毎月の定例の調査と同時に、1-3月、4-6月、7-9月、10-12月の「見通し」が発表され、いつもより注目を浴びます。機械受注の先行き見通しから、設備投資の将来が議論できるからです。機械受注統計の先行性は、6ヶ月位といわれています。
もし、受注の伸びが高まれば、半年後以降に設備投資の盛り上がりとなって表れます。この統計の特徴の1つとして、3月、9月には決算月の影響で、不況期には受注が増えます。駆け込み受注で、決算の数字をあげようとするからです。しかし、景気が回復してくるとそうした凸凹は弱まります。

雇用統計

雇用統計の中で馴染みが深いのは、失業率と有効求人倍数です。しかし、それ以外にも労働時間指数、実質賃金指数など景気、インフレなどに影響を及ぼす指数も発表されています。統計は月次で、翌月末に発表されます。失業者はそれぞれの国によって定義が異なるため、表面的な数字だけで、諸外国と失業率を比較するのはいささか問題があります。

しかし、国内だけで失業率の推移を見ると、1990年代前半まで2%台という低水準で推移していたものが、2000年代にはいると5%台まで増加しています。これは景気低迷が長期化したために、企業倒産が急増した、企業が人員整理を柱とするリストラを積極的に進めたのが原因であるのは明らかで、景気と雇用の関係の密接度は深いものである。また、近年では失業率が短期間では大きな数字の変化を見せないことから、むしろ有効求人倍数の注目が高まっています。

米国の雇用統計は、失業率と非農業部門雇用者数を中心として、製造業就業者数・小売業就業者数など10数項目が発表されます。その中でも非農業部門の雇用者数がもっとも注目を集め、この数字次第で為替相場は大きく変動します。米国雇用統計は、米国労働省が月初めの金曜日、ニューヨーク現地時間午前8時30分に発表します。日本時間では22時30分、米国サマータイム時は21時30分です。

消費者物価指数(CPI)

インフレ動向を知るうえでの重要な指標です。月次調査され、翌月の下旬に閣議で報告された後に発表されます。家計の消費収出の中から重要な品目(指数品目)を選び出し、ある基準の年にそれらの品目を購入したときの収出金額を100とし、同じ品目を購入した場合の収出金額を100と比べて数字で表わします。
指数の増え方が、前月に比べて大きくなっていればインフレが進んでいると判断されます。米国の消費者物価指数では、価格変動の大きいエネルギ-(ガソリン、灯油など)を除いた指数が重要視される。

さらに詳しい情報
総務省統計局 消費者物価指数のしくみと見方
卸売物価指数(WPI)

卸売物価指数は企業間で取引されている財の価格の変動を捉えたものです。3つに分かれており、国内市場向けの国内品の卸売価格の変動を示す「国内卸売物価指数」、輸出品、輸入品の物価変動を示す、「輸出物価指数」「輸入物価指数」があります。これを総合したものが、「総合卸売物価指数」です。消費者物価指数におよそ半年の先行性があります。
卸売物価は国際商品市況、為替相場にも直接影響を受け、消費者物価より変動が激しいところに特色があります。

国際収支

経常収支とは、「貿易・サ-ビス収支」、「所得収支」、「経常移転収支」を合計したものです。その中身は、8割が「貿易・サ-ビス収支」で占められており、輸出と輸入の動向とサービス(輸送、旅行など)の動向を詳しく知ることができます。

「所得収支」とは、海外へ投資から生じた受け取配当などです。例えば、日本の会社が海外に会社を作り、その利益を国内で受け取ったケ-スなどです。

「経常移転収支」は政府の無償資金援助などです。

資本収支とは、対外債権・債務のことです。例えば、日本の生保が米国債や米株に投資すれば、日本の赤字になり資本収支はマイナスとなり、米国のファンドが日本の会社を買収すれば、日本の黒字になり資本収支はプラスとなります。資本収支が黒字(赤字)の場合は、資本の流入(流出)を意味します。また、日本政府が為替市場でドル買い介入をした場合には(資本の流出)となり、資本収支のマイナス要因となります。

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